BirthControl―女達の戦い―
だがそれも今日で終わらせることが出来る。


あの優しい遥香が、久枝を見殺しにはしないだろうとは思いながら、何をするつもりなのかは検討もつかなかった。


久枝を助けられてなおかつあの施設の実態を世間に知らしめること。


それが最終目標であることには変わりない。


けれど自分たちが外側にいる以上、それは全て遥香にかかっているのだ。


三人が三人ともそれがわかっているだけに、押し黙ったまま、青柳の動向に耳を傾ける。


その時、青柳の部屋から携帯の着信音が響き渡った。


〈はい、青柳ですが……

あぁ!麻生先生!

おはようございます

おかげさまで本日これから、成立して初めての75歳以上の高齢者の処分を実行することができます

先生にはこの度の件ではご尽力頂きまして本当にありがとうございました

滞りなく処理が済みましたらまた改めてお礼をさせて頂きたいと思っておりますので、よろしくお願い致します

では時間が迫っておりますので、また後ほど……〉


青柳はそう言うと、早々に電話を切り上げ、もう部屋を出ようとしているようだった。


「そろそろみたいだな?」


「そうね、いよいよだわ
準備はバッチリよ?」


梨央がそう言ってモニターを確認した後、要は無線を使って遥香を呼び出した。


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