BirthControl―女達の戦い―
責任は全て自分にかかってくるだろう。


このままだと引責辞任は逃れられない。


せっかく掴んだ大臣の椅子も、これまで懸命に積み上げてきた実績も全て水の泡だ。


妻も……同じように副大臣の座を降りることになるだろう。


娘を犠牲にしてまで、やっとここまで登り詰めたというのに……


「クソッ!!」


ガンッと机を脚で蹴ると、重厚なそれはささやかにずれた。


いつもは冷静沈着な譲の取り乱した姿に、夏木は少なからず驚いているようだ。


けれど夏木はすぐにその顔は引っ込めて、いつもの生真面目な顔に戻る。


「すぐに車の手配をして参ります」


全てを理解した上で、夏木はそう言ってくれた。


自分も関わっていた以上、ただでは済まないことはわかっているはずだ。


それでも夏木はまだ俺に忠臣を尽くしてくれるらしい。


「ああ……頼む」


覚悟を決めてくれたこいつに恥じないよう、俺も覚悟を決めて最後まで自分のすべきことをやらなければと思った。




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