BirthControl―女達の戦い―
「うわぁぁ!」

「なんだこれは!」


スタッフたちが中を覗いては悲鳴をあげて、誰もが何も出来ずに動けないでいた。


血の量に目を奪われて、ここで死んでいるのが青柳だと気付いたものはいないらしい。


一番最初に動いたのは夏木だった。


「警察を呼んでください!

それから救急車も!」


スタッフに向かってそう言い放ち、青柳の元へと近付くと脈をとり始める。


それからゆっくりと譲の方に顔を向けて、静かに首を左右に振った。


やはり青柳は死んでいるようだ。


ここに警察を呼ぶということは、自分たちの政治生命は終わったようなものだったが、言い逃れ出来ないこの事態を収拾するには仕方のない選択だと諦める。


夏木の判断の早さに、頭のどこかでやはり優秀な秘書だななどと考えている自分がいた。


夏木がスタッフに指示を出している間、譲は青柳と対峙したであろう人物の元へと歩み寄った。


今回の騒ぎを起こした張本人であるだろう女の元へ。


その女が抱き抱えているのもどうやら女であるらしい。


華奢な体はその女の腕の中にすっぽり収まり顔は見えない。


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