BirthControl―女達の戦い―
やはり、この娘も……


そう思った矢先、夏木は娘の顔を見ながら小さく悲鳴をあげた。


自分の方からは夏木の背中に隠れて娘の顔は見えない。


「どうした?」


仕方なく夏木に近寄ろうと声をかけると、来ないでくださいとそれを遮られた。


それから何度も確認しながら、女から娘を引っ張り出そうとする。


けれど女はそれを拒み押し問答になっている。


埒があかないと思った譲は夏木の肩を掴み、二人の間に割って入ろうとした。


「……え?」


その間に眠るように倒れていた娘の顔を見て、譲は絶句した。


「――ッ!」


(……なんだこれは?

いったい何が起きてる?)


よく見知ったその顔は、紛れもなく譲の娘、遥香のものだった。


「はる……か……?」


名前を呼びながら、体を揺さぶってみる。


先程、死んでいるようだと納得していたはずなのに、遥香だとわかった瞬間、そんなはずがないと譲はそれを否定していた。


手に触れている肌はまだ温かく柔らかい。


それがますます死とは縁遠いものに思えて、信じられなかった。


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