BirthControl―女達の戦い―
しばらく迷ったけれど、それでも久枝を助けるためにまごまごしている時間はないと遥香は思った。


事前の梨央の調べ通り、このドアはIDカードでは開かないらしい。


やはり指紋を採取してきて正解だったと思う。


音が響いてばれやしないか、ひやひやしながら暗証番号を打ち込む。


それから指紋認証の確認をした。


ピーッと確認できたという合図が鳴り響く。


ピピッとまた小さく音がして、同時にドアが開いた。


目の前に青柳は背中をこちらに向けて立っていた。


コンピューターの前で、ガラス張りの前面を凝視しながら、何か操作をしているようだ。


遥香の予想に反して、青柳はまったくこちらには気付いていなかった。


ここからではガラス張りの向こうで何が行われているのかわからなかった遥香は、危険を省みず青柳の背後に近づいていく。


ようやくそれを覗ける距離になった時、遥香は目を疑った。


たくさんのカプセルが次々に炎の中に消えてなくなっている。


よく見ると、そのカプセルの中には人が入っている。


< 287 / 406 >

この作品をシェア

pagetop