BirthControl―女達の戦い―
父は娘がやったことだと気付くだろうか?


これを機に自分のしてきたことがどんなに罪深いことだったのか、思い知ればいいと遥香は思う。


幼い頃は父も母も大好きだった。


両親に言われるままに成長し、疑うことも知らなかった。


いつからだったろう?


父が自分の価値観を自分に押し付けているんじゃないかと思うようになったのは……


母がお人形のようにしか自分を可愛がってくれてないことに気付いたのは……


素直じゃない自分をいらない子なのかもしれないと感じたのは……


あの時――


遥香が誘拐された時、父の対処の仕方は最悪だった。


あの頃はそれを恨んだし憎悪さえ感じたけれど、今は少しだけ年を取った分、考え方も変わったのは確かだ。


父のあれは紛れもなく遥香を助けるためというのが大前提で、プラスアルファで反政府組織を潰せればいいと思っていたのだろう。


歪んだ愛情に政治家としての画策が加わって、ああいう結果になったのかもしれない。


だけど……と遥香は思う。


自分もあの時の父と変わらないのではないか、と。


久枝を助けるために青柳を殺し、カプセルに眠るその他大勢の亡骸は犠牲にしたのだから……


< 300 / 406 >

この作品をシェア

pagetop