BirthControl―女達の戦い―
そんなことを考えていると、脱衣場の方から何か物音が聞こえた。


要が戻ってきたんだろうとその時、遥香は思っていた。


その近付いてくる足音と、無線から梨央の声が聞こえたのが同時だった。


「遥香!逃げて!!」


まだこの時は梨央の言ってる意味を理解していなかった。


けれど足音の人物が大浴場に顔を出した時――


ようやくその意味を理解して絶句する。


(なんで……?)


そこに立っていたのは青柳だった。


手には銃を握っている。


頭から血を流し額から頬にかけても、どす黒い血がベットリとついていた。


咄嗟に自分は人を殺していなかったんだと、遥香の胸を燻らせていたものがなくなったような気がした。


だから危険を察知するのが遅くなってしまったのかもしれない。


パンッと渇いた音が響いたと同時に、足に痛みを覚えた。


丸山が後ろで何か叫んでいる。


けれどその時には体が勝手に動いていた。


丸山と久枝だけは助けなきゃという思い。


二人の前に立ちはだかると、足の痛みを堪えて必死に盾になろうと踏ん張った。


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