BirthControl―女達の戦い―
「おかげさまで、毎月の健康指導をきっちり先生たちがやってくれてるから、みんな元気よ?」


哲朗が敬子と共にここを訪れる一番の理由がそれだった。


少子化対策支援法が廃止されたとはいえ、日本の経済が潤ったわけではない。


むしろこの措置によって、今までうなぎ登りだった子供の数は減るかもしれないのだ。


けれどそれでも未来を担う子供を増やすことの大切さ……


逆に今まで日本を支えてくれた高齢者の大切さ……


これからはそれらを国民に浸透させていかなければならない。


それに少しでも国の財政負担を減らすため、自分たちの努力で変えていくべきだと哲朗は考えていた。


特に高齢者の医療費は負担が大きい。


ならばと敬子と考えたのが未然に病気を防ごうということだった。


そのための知識を頭に入れて、二人三脚で何ヵ月か実践してきたが、それがどうやら実りつつあるらしい。


「実を結んできたようだな?

良かった……」


目を細めて哲朗がそう言えば、梨央もまた嬉しそうに笑う。


「おかげで私の仕事がなくなっちゃう」


< 313 / 406 >

この作品をシェア

pagetop