BirthControl―女達の戦い―
結局、百合子は貴和子と同じ離れに住むということで落ち着いた。


自分たちがいなくなった後はどうなるのかわからないけれど、とりあえずといったところかもしれない。


お手伝いとして雇われたのかと思ったが、意外にもこの家からOldHomeに通うということだった。


この時は何故百合子が帰る家がないのかも知らなかったし、父に対する嫉妬から知ろうとも思わなかった。


百合子が悲しい現実と向き合っていることを知ったのは、あの事件……OldHomeがその機能を崩壊させた後になる。


その日、しのぶは子供たちを学校に送り届けた後、実家のリビングで寛いでいた。


一ヶ月という約束だった仮住まいも、結局もうすぐ冬休みというところまで来てしまっていた。


間借りしている立場なのに、家のことさえ貴和子に任せきりで、仕事に就くわけでもないしのぶを、父も母もどう思っていたのだろう。


この時のしのぶはただの我が儘な娘だったに違いない。


甘えていたのだと、今は振り返ってみてもわかる。


百合子やOldHomeで一人闘っていた女性のことを知った今では……


しのぶよりもずっと若い二人が、自分よりも過酷な運命を背負っていたことを知って愕然としたのを覚えている。


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