BirthControl―女達の戦い―
(……何を、言ってるんだ?)


今まで文雄の言うことに反発したことなんかなかったというのに……


文雄が守ってやらなきゃ何も出来ない、弱い女だったくせに……


「ごめんなさい……

でも、あなたにそんなことを言わせてる原因は私にあるんですよね?

私が……頼りないから……

でも私、礼子にしたことずっと後悔してた……

取り返しのつかないことをしてしまったからこそ、私はあの子たちを一生懸命育てようって思ったの…

それなのに……それさえ出来なくなるのなら、私は自分がどうなろうとも構わない

あの子たちが大きくなるまで傍にいることが、私たちに出来る礼子への唯一の償いなんじゃないかしら?

今まで……あなたに頼ってばかりで自分で何かしたことなんかなかったけど……

貧しくてもいいから……

私は働いてでも、あの子たちを育てます」


さっきまで頼りなげに動揺していたはずの妻が、今では別人に見えた。


あの子たちを死んでも育ててみせるといった気迫が伝わってくる。


いつから自分たちはこんなにすれ違っていたんだろう。


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