BirthControl―女達の戦い―
形は違えど、人はどん底に陥った時、自分でも想像していなかった行動を取るのかもしれない。


人が弱くなる時、それは得てして環境によるものが大きいのではないか?


優しかった父を鬼に変えたのは……


世の中のせい?


政治のせい?


憎むべきはそこなのかもしれない。


「ママぁ、まだ終わらないの?」


「ママがいないと怖いよぉ~」


「いっちょに寝て?」


襖からちょこんと出された頭が3つ……


それぞれが母を恋しがってる。


母は優しい声で安心させるように子供たちを言い聞かせた。


「もう少し待っててね?
おりこうさんにしてたら、ご本読んであげるから」


にっこり微笑んでそう言うと、子供たちはおおはしゃぎだ。


「やったぁ~!」

「何の本にする?」

「んと、りんごのはなち!」


お兄ちゃん二人に妹か……


自分が生んだというのに、そんなことも忘れてるなんて……


礼子も幼い頃、よく母にねだって本を読んでもらったことを思い出す。


昔を懐かしむように子供たちを見ていると、一番大きな男の子が、礼子をじっと見つめながら言った。


< 374 / 406 >

この作品をシェア

pagetop