BirthControl―女達の戦い―
「お母さん……」


久しぶりにそう呼んだ気がする。


「……えっ？」


母の驚いたような顔が、礼子をますます照れさせた。


「私も一緒に育てるよ」


気がついたらそんなことを口走っていた。


「――ッ！」


母は泣きそうな顔で、声にならない声を出すと、礼子を穴があくほど見つめていた。


それから途切れ途切れに複雑な胸の内を礼子に伝えてくる。


「でも……いいの……？
礼子……あなたに……

背負わすつもりじゃ……」


なかったのにと、母は言うつもりだったんだろう。


先程まで一度も見せなかった涙をこぼして、母のそれは嗚咽に変わった。


礼子は、再会して初めての笑顔を母に向けながら、自分の思っていることを伝える。


「まだ一緒に住む気にはなれないけど……

協力しあえばあの子達に不自由な思いをさせなくてすむんじゃないかな？

もちろん、お母さんにも働いてもらうけどね？」


いつの間にか、自分が母に対して優しい気持ちになれていることに、礼子は戸惑ったけれど。


それでも何だかそんな気持ちになれたことが、礼子はとても嬉しかった。

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