BirthControl―女達の戦い―
子供が出来ないことで躍起になっていた自分が何だかバカみたいだ……と百合子は思った。


それを洋一にまで押し付けていたんだと思うと情けなくなる。


あの時の百合子は、本当に子供が欲しかった訳じゃなかった。


子供がいれば離婚しなくてすむため……


生活が楽になるため……


そんな考えだから、授かるものも授からなかったのかもしれない。


今なら……


子供が出来なくても、百合子には生き甲斐がある。


もしかしたら、神様は百合子にこの仕事をさせるために、試練を与えたのかもしれない。


最近はそんな風に思えるようになった。


(だから……

私はもう迷わない)


洋一にさよならして、一からやり直そうって決めたんだから。


ここで、遥香の分までみんなのお世話をすること……


それが彼女がしてくれたことへの恩返しにもなる。


遥香は最後まで自分の幸せより、百合子のような女性が幸せになることを願っていたと丸山先生から聞かされた。


遥香が麻生大臣の娘だと知ったのも、丸山からの情報だ。


< 391 / 406 >

この作品をシェア

pagetop