BirthControl―女達の戦い―
(あぁ……捨てられたのか……)


なぜだかわからないけど、瞬時にそう思った。


それで頼る者もいなくて、百合子のところに来たんだろう。


あれだけひどい仕打ちをしておいて、よく顔を出せたものだと百合子は思う。


洋一だけが悪いのだとは、今ではそれほど思わなくなったけれど……


それでも男としてプライドは持っていて欲しかった。


あの頃……


あんなに好きだと思えたのはなぜだったんだろう?


この人のどこに惹かれていたんだろうか?


冷静に客観的に見ることが出来る今なら、彼が自立出来ていない人だったのだとわかる。


誰かに頼って、誰かに何とかしてほしいと思っている人なんだと……


自分の力で、何とかしようとはきっと今も思ってないんだろう。


だから少しでも望みのありそうなところに来たんだと、百合子は理解した。


離婚してなお、この人は百合子がまだ自分を好きだと思ってる。


自分が捨てて他の女のところへ行ってしまったくせに、百合子が未だに自分を待っているとでも思ってるんだろうか?


バカにするにも程があると百合子は失笑した。


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