BirthControl―女達の戦い―
だけど、自分がそう思われる程度の女だったんだと気付く。


百合子はもうあそこから自分の足で歩き始めている。


けれど彼の足は止まったままだ。


誰かに手を引かれて歩くことを望んでる。


だけどそれは百合子の役目じゃない。


彼にはきちんと自分の足で歩いてもらいたい。


例え、それがひとりぼっちだったとしても……


しっかりプライドを持って生きて欲しい。


かつては百合子が愛した人なのだから……








「久しぶりだね?」


いろんな思いを胸に閉まって、百合子はようやくそう声をかけた。


百合子が喜んでいるとでも思ったんだろうか?


複雑な思いで浮かべた笑みを、勘違いしたように、洋一は嬉しそうな顔で百合子を見た。


「百合子、元気そうだな?

今、どこにいるんだ?

団地に行ったら引っ越したみたいだったから……」


「……そんなこと聞いてどうするの?」


半ば呆れ気味にそう言うと、洋一はすまなそうな顔をして言った。


「俺……百合子には本当に悪いことしたと思ってる

わかったんだ!

俺には百合子しかいないんだって

だからもう一度やり直したい」


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