BirthControl―女達の戦い―
何か猫か犬の繁殖の話をしているかのような、軽いノリの会話に、礼子は吐き気をもよおした。


自分が生まれてきたのも、全部金のためだったんじゃないかとさえ思える。


今まで大好きだった両親をこんなにも憎むことになるなんて思ってもみなかった。


早く妊娠して、子供を産んでしまいたい。


そうすればこんなわけのわからない地獄の毎日から抜け出せる。


きっと世の中が悪いんだと礼子は思う。


子供さえいれば生活が楽になるなんて法律を作ったから……


人は弱い生き物だ。


だからこそ優しかった父や母もあんな風になってしまったんだと思いたい。


けれどこのままじゃ人間も動物に成り下がって、ただ種を絶えさせないために交尾を繰り返すだけになってしまう。


そんな風に産まれた子供は、果たして幸せに生きられるんだろうか?


礼子のお腹に宿るかもしれない赤ちゃんは、父親もわからず、母親にも愛されず、ただ金のために礼子の両親に育てられることになるだろう。


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