BirthControl―女達の戦い―
結局、礼子が三人の子供を出産するまで、外出も許さない異常な生活を強いることになったのだ。


隣近所に怪しまれないために……


人間はどんな残酷な行為をしていても、それがずっと続くことで慣れが生じていくのかもしれない。


礼子にしたことは確かに許されることではないけれど、あの得体の知れない施設にこの若さで入れられるのだけは避けたかった。


そうじゃなくても70歳になれば、強制的に入れられてしまうのだ。


だったらどんな手を使ったって、それまでの人生を謳歌する権利はある。


もし咎められるとすれば、礼子になら仕方がない。


だけどそれ以外の、この腐った世の中の誰一人にだって、自分達を責める資格はないはずだ。


文雄達をこんな風にしたのは、他ならないこの社会なんだから……


あの施設に一度収容されてしまえば、もう二度と出ることは出来ない。


しかもこちらから“OldHome”に会いに行くことも不可能だ。


葬式に参列することも、最後に看取ってやることも、あそこに入ってしまえばもう何をしてあげることも出来ない。


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