BirthControl―女達の戦い―
この6年間、理由も話さず悩み続ける裕之に、きっと呆れているだろう。


あれから申し訳なくて、妻とは関係を持たなくなっていた。


子供もだいぶ手が離れてきたというのに、妻を拒否していることが、彼女を傷つけているなんてこれっぽっちも思っていなかったのだ。


「あなた……

何か悩みがあるなら話して?

私達……夫婦じゃない」


妻がそう言いながら、裕之に抱きついてきた。


仕方なく抱き止めながら、髪を撫でる。


「自分でも……

よくわからないんだ……」


本当のことを言うわけにもいかず、裕之はそう言ってごまかした。


「私のこと……

抱かなくなった理由もわからないの?」


妻がそんなことを言うなんて夢にも思わなかった裕之は、驚いて彼女の髪を撫でる手を止めてしまった。


「もう私のこと好きじゃなくなったんでしょ?」


気付くと彼女は泣きながらそう言っていた。


こんなはずじゃなかった。


少なくとも妻を愛していたし、だからこそあの事実を知られることが怖かったのだ。

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