BirthControl―女達の戦い―
妻を抱くことが出来ないのは、自分への戒めのつもりだと思っていた。


まさかそれがこんなにも妻を傷付け、不安にさせていたなんて、裕之は全く思っていなかったのだ。


「ごめん……

そんなつもりじゃなかったんだ……

しのぶのこと好きだからこそなんだよ」


わけのわからない言い訳をすると、彼女はさっきまでとは違う、低く冷たい声が響く。


「私、知ってるのよ?」


(……えっ?

何を知っているって言うんだ……)


裕之はゴクリと唾を呑み込むと、震える声で恐る恐る訊ねた。


「しのぶ……

何を……知ってるんだ?」


すると彼女は寄り添っていた体をゆっくりと離して、睨み付けるように見上げてきた。


「あなたが……

宮内さんとこの礼子ちゃんと……そういう関係だったってこと」


「――ッ!」


(知ってた……だと?)


裕之は衝撃を受けた。


うろたえる裕之にしのぶは畳み掛けるように言葉を浴びせる。


「あんな若い子とそんな関係なら、私なんか抱きたくもないはずよね?」


そんな嫌味も裕之の耳には届かなかった。


それよりも気になるのは、なぜそれを知ってるのかということだ。


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