BirthControl―女達の戦い―
ガックリと項垂れながら、裕之は掠れた声でしのぶに謝った。


「すまない……」


そんな裕之を、しのぶは怒りとも悲しみともとれるような瞳で見つめる。


「……認めるのね?」


震える声でそう言ったあと、しのぶは床に泣き崩れた。


裕之はそんなしのぶを複雑な思いで見下ろしていた。


しのぶのために、子供たちのために、ずっと隠していた事実。


それはあっけなく妻にバレていた。


妻を抱かない理由も、食い違いはあるけれど原因は一緒だ。


ずっと後悔して謝りたかった相手は妻だけじゃない。


礼子にはそれよりももっと酷なことをしたと思っていた。


だから妻を抱かないことは自分への戒めでもある。


けれどそれを隠し続けた6年間は、裕之にとって耐え難い苦痛でもあった。


しのぶに申し訳ないという気持ちは確かにある。


けれど、なぜかしのぶにバレたことで、ホッとしている自分もいた。


しのぶを愛してる。


それは変わらなかった。


だからこれからしのぶに何年かけても償おうと思う。


不謹慎にもようやくあの悪夢から解放されたような気がして、裕之は大きく息を吐いた。


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