BirthControl―女達の戦い―
おばあちゃんちイコールプールという頭になっているのだろう。


何も言わないのに、水着をきちんと用意しているちゃっかりとしたところが、海美らしいなとしのぶは思った。


しかもお兄ちゃんや弟の分まで。


フフッと思わず笑ってしまいながら、自分が笑えてることにしのぶは安心した。


「大丈夫だと思うけど、まだ水を入れてなかったら、ちゃんとプールの掃除も手伝うのよ?」


「はーい!」


元気よく返事をする子供達の声を聞きながら、自分達のいる中流世帯区域から、上流世帯区域に向けて車を走らせた。


しのぶの実家は上流世帯区域にある。


一人娘だというのになぜ実家が上流世帯なのかというと、それは父親が腕のいい医者だったからだ。


医者や政治家など、国で決められた一部の職業には、子がいなくても上流世帯に住める特権が与えられている。


しのぶの実家はまさにその特権が与えられた家族なのだ。


上流世帯の一軒家が並ぶ道を真っ直ぐ進み、次の交差点を右に曲がると、丸山医院と書かれた看板を掲げる大きな病院が見えてくる。


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