BirthControl―女達の戦い―
「お帰りなさいませ、お嬢様

お子さん達も元気そうでなによりです」


自分の孫のように貴和子は目を細めながら子供達を愛しそうに見つめる。


「貴和子さん、こんにちは

もうお嬢様じゃないんだから、しのぶでいいのよ?

今回はちょっと長くお世話になると思うので、よろしくお願いします」


頭を下げながらそう言うと、貴和子は慌てたように言った。


「何言ってるんですか!

ここはしのぶさんのご実家なんですから、大きな顔していてくれていいんですからね?」


そんなやりとりをしている二人を横目に、子供達は「おじゃましまあす!」と言いながら、どんどん部屋の奥に進んでいく。


そんな子供達の様子を見て、しのぶと貴和子は顔を見合わせながら笑った。


20畳はあるリビングの真ん中には、しのぶが小さい頃よく弾いていた白いグランドピアノが置いてある。


一階には他に母の趣味である茶室と、父の書斎、シアタールームなどがあり、寝室は全て二階にあった。


父と母の寝室と、しのぶが使っていた部屋もそのままになっている。


他にもゲストルームが3部屋あり、子供達は一人ずつ部屋を与えてもらった。


< 70 / 406 >

この作品をシェア

pagetop