BirthControl―女達の戦い―
釣り仲間として家族ぐるみで仲良くしてもらっていた6家族の中でも、歳の近い真希は夫が釣りをしなくなってからもたまにお茶を飲んだりするような仲だった。


つい最近も、久しぶりにランチでもしようと誘われて会ったばかりで、その時初めて真実を知ることになる。


しのぶはずいぶん前から夫の変化に気づいてはいたものの、まだ子育てに忙しく夫婦の営みがなくても特に気にならなかった。


仕事で疲れているのかな?くらいの認識でしかなく、夜中に何度もうなされるようになった夫にも、大丈夫だからという言葉を信じて、それ以上は追及できないでいた。


だけどそれから子供もだいぶ大きくなり、手が離れ始めても変わらない夫の様子に、しのぶは言い知れぬ不安を覚えるようになる。


なによりしのぶに指一本触れなくなったことにも疑問を感じたし、時々見せる怯えたような様子が、夫が何かを抱えて悩んでいるんじゃないかとしのぶに思わせたのだ。


何度その理由を尋ねようとしても、彼は一切口を割らなかった。


その事がもしかしたらしのぶに言えないような内容なんじゃないかと思うようになったのもつい最近のことだ。


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