BirthControl―女達の戦い―
「最近はどうだい?

ここの仕事にも慣れた?」


すると彼女は思いの外にっこりと笑って、頷きながら答える。


「はい!だいぶ慣れました

もともとお料理も嫌いじゃないし、ここのスタッフさんにいろいろ教えてもらえて楽しいです!」


元気そうな百合子にほっとしながらも、哲朗はさらに彼女の心の奥を探っていく。


「そうか、なら良かった

こないだ食堂でランチをごちそうになったけど、すごく美味しかったよ

久枝さんに一度食べてみろって言われて連れていかれたんだけど、今まで行かなかったのがもったいないくらいだったよ」


久枝の名前を出されて、少しピクッと反応したものの、ランチを誉められて百合子は嬉しそうに微笑む。


「そういえばこないだ来た時に、久枝さんが百合ちゃんが元気ないって心配してたけど、何かあった?」


すると微笑んでいた百合子の顔が、みるみるうちに歪んでいき、気づいた時にはもう泣きそうな顔に変化していた。


何も言わず俯く彼女に、哲朗はもう一度声をかける。


「百合ちゃん?

何かあるんなら一人で溜め込まないで、久枝さんでも僕でも、遥香ちゃんにでもいいから、相談してごらん?」


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