BirthControl―女達の戦い―
上流世帯区域に住む住人は子供が4人以上いる家庭は別として、選ばれた職業の家庭では一人っ子であることが多い。


子供を生むことによって支給される手当てや免除が、黙っていても得ることが出来るからだ。


それに特別な職業であるだけに、忙しいというのも理由の一つだった。


今の時代、親が70歳を迎えてしまえば財産は没収され、施設に入れられてしまう。


親の七光りなど存在しない世界だ。


だからこそ誰にでもチャンスはあるし、一代で築けるものもある。


けれど子に継がせることが出来ない今、子供をたくさん作ったところで、心配の種が増えるだけ。


そんなわけで遥香も例に漏れず一人っ子だった。


一人娘の将来を心配する親の気持ちはわかるけれど、上流世帯にしがみつくために、政治家の秘書と結婚しろだなんて……


遥香は看護師になる夢を諦めたくなかった。


看護師になるためには、高校を卒業してから、最低でも四年間は学校に通わなければならない。


学校の費用は免除されるため問題はないものの、両親が許してくれるかどうかが問題だった。


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