りある♡プリンス
「…そうですか。すいません! いきなり変なこと聞いてしまって」
とっさに頭を下げる。
「まひるさん、顔を上げてください。大丈夫ですよ」
ゆっくりと顔を上げると、穏やかに微笑む雫さんがいた。
「…あ、次、移動教室ですね。行きましょう」
「あ、はい…!」
移動しながら、あたしは心に決めようとしていた。
時間はかかるかもしれないけど、翔への気持ちは、忘れなきゃ。
…翔と雫さんを応援しなきゃ。
あたしは溢れそうになる涙を必死に堪え、ぎゅっと唇を噛み締めた。