りある♡プリンス
それからかなりの時間待ったけど、翔が来る気配はない。
「……翔様、遅いですね…」
「…………はい…」
…もしかしたら翔、あたしがリムジンに乗るところを見て、あたしのこと嫌いだから先帰ったんじゃないの……?
………うん、そうだよね。
じゃあもう、行きましょう…。
「…まひる様、大変申し訳ないのですが、翔様を探してきてくださいませんか?」
「……っえ…」
「本当に申し訳ないと思っております。しかし私は、車の管理を任されていますので……」
「…………」
どうしよう……
このまま車降りて帰ろうかな…
「……わかりました」
「ありがとうございます。では、こちらの傘をお使いください」
運転手さんはそう言うと、高そうな黒い傘をあたしに貸してくれた。
あたしは傘をさして、車を降りた。