りある♡プリンス
あたしは無意識に、持っていた傘を落としてしまった。
その音に気づいた、ぼやけた翔が、ぼやけた雫さんを離して振り返った。
あたしの顔は、雨なのか涙なのかわからないくらい濡れていた。
あたしは傘を落としたまま、お屋敷とは逆方向に向かって走った。
もう、お屋敷にはいたくない。
あたしは一心不乱に、ぼやけた視界で家に走った。
後ろから、水を跳ねる足音が聞こえる。
ー…翔だ。
いや………っ、追いかけてこないで!!
雫さんのところにいてよ!!!