りある♡プリンス
一気に静まる翔さんの部屋。
なんとなく気まずくて、赤い絨毯を見つめる。
「まひるさん」
「っはい!」
急に名前を呼ばれて、弾かれるように顔を上げた。
「っ! 翔さん!!」
「……」
下を向いていたから全然気づかなかった。
思ったよりも近くなっていた翔さんの顔。
その綺麗な瞳に見つめられて、あたしは固まったように身動きが取れなくなった。
翔さんは、やっぱり背が高かった。
あたしを上から見下ろすようにして、更に距離を縮めてくる。
「あああのっ! し、翔さん!?」
その距離、10センチ。
慌てるあたしには構わず、翔さんはあたしの顎をくいっと上向けた。
「…ふぅん、あんたが俺の専属メイド?」
「え…?」
さっきまで見せていた穏やかな笑みではなく、翔さんは冷たく笑った。
まるで品定めでもするかのような翔さんの視線に、あたしはついに耐えきれなくなった。
「しっ、失礼しました!」
あたしは翔さんの胸を強く押して逃れると勢いよく部屋を出て行った。