りある♡プリンス
部屋を出て、エレベーターに向かう。
「まひるちゃん、これからよろしくね」
「はい! こちらこそよろしくお願いします、紗羅さん」
紗羅さんはにこりと笑った。
優しい先輩メイドさんでよかった。
エレベーターに乗ると、紗羅さんが再び口を開いた。
「あと、まひるちゃん。敬語はよしてね。堅いから」
「えぇっ? そ、そんなの……」
「ね? お願い」
紗羅さんはウインクしながら、顔の前で手を合わせた。
「……じ、じゃあ…」
あたしが言うと、紗羅さんはぱあっと目が輝く。
「じゃ、ついで! 紗羅さんって言うのやめて」
「えー…」
紗羅さんのことは、紗羅ちゃんと呼ぶことになった。
「失礼します。ご主人様」
紗羅ちゃんが、ノックをしてから扉を開けた。
「失礼します」
あたしも続いて中に入る。
「あぁ。そこに座ってください」
統さんはあたし達を豪華なソファに座らせた。
ふかふかすぎて沈むかと思った。
統さんが向かいのソファに座ったのと同時に、あたし達が入ってきたのとは違う扉から統さんの執事さんと思われる男の人が入ってきた。
「ご主人様、お持ちいたしました」
「あぁ。ありがとう」
執事さんが、統さんと紗羅ちゃんとあたしの前に紅茶の入ったティーカップを置いてくれた。
紅茶を一口飲んだ統さんが、ゆっくりと話し出した。