りある♡プリンス
翔さんは、1枚のクッキーをあたしに差し出す。
「あ、ありがとうございます」
受け取ろうと手を伸ばすと、翔さんはその手を制した。
「え?」
右手がダメなら左手だ!
再びクッキーを受け取ろうと手を伸ばす。
「えぇ?」
またしても、翔さんが制す。
あたしは目を瞬いて、翔さんの整った顔を見る。
「…わかりますよね? どういうことか」
そう言うと、翔さんはあたしの口元にクッキーを近づけた。
「はい、どうぞ召し上がれ」
するつもりなんてさらさらなかったけど、あたしは反射的に口を開けた。
一口大のクッキーが、あたしの口の中に転がる。