りある♡プリンス
用事があるからって言ってなんとか部屋を抜け出したけど、特にこれと言った用事はない。
あたしはメイドの部屋に戻った。
「あっ、まひるちゃん」
「紗羅ちゃん!」
紗羅ちゃんはリップクリームを塗っているところだった。
不意に窓の外を見ると、夕焼け空が眩しく輝いていた。
うわぁ、めちゃめちゃ綺麗。
こんな夕日、初めて見たかも。
感動していると、急に紗羅ちゃんが「あぁっ!」と叫んだので、あたしはびっくりして肘を壁に強打してしまった。
「もう5時じゃない! いけない! 翔さんの夕食の準備をしなきゃ」
紗羅ちゃんはリップクリームを可愛いポーチにしまうと「じゃあ、行ってくるね!」と足早に部屋を出て行った。
うーん…。
ここにいても暇だから、自分の部屋に戻ろっと。