りある♡プリンス
遠すぎるのです。
「いやっ! 大丈夫なので!」
「いえ、そんなわけにはいきません。翔様とご主人様のご命令なので」
「あの、ほんとに大丈夫です!」
次の日の朝。
お屋敷の玄関前。
あたしの通う、丘の緑高校はこのお屋敷からかなり遠いことが判明。
というわけで、朝からリムジンを出すなどと言われたので、必死に断ってる最中です。
第一、車で登校だなんてどこのお嬢様だって話!
車登校は禁止だし、しかも乗用車じゃなくて、あの"リムジン"だし。
そんなリッチな登校はあたしには似合いません!!!
「なにされてるんです?」
「こっ、これは翔様!」
わーわー騒いでいるあたしの背後から、翔が悠然と姿を現した。
「まひるさん、なにされてるんですか。早く乗らなければ遅刻されますよ」
乗ろうとしないあたしを見て、翔は目を丸くした。
「どうぞ」
翔がゆっくりとあたしに近づいた。
「早く乗れよ。じゃないとここで…」
「のっ乗ります!」
耳元で危険キャラの翔に囁かれ、あたしはとっさに頷いた。
「行ってらっしゃい」
車の窓の外から翔が穏やかに笑い、手を振っている。
……まだ出た。
危険キャラの翔。
もーーーうやだーーーーーー!!!