りある♡プリンス





長く伸びた前髪を垂らして、頬杖をつきながらシャーペンを動かす翔。




あたしは不覚にも、かっこいい、と思ってしまった。







「…なんだよ?」


「……はっ!」



あたしったら、なに見惚れてるんだ!





誰がこんな俺様で危険なやつをかっこいいなんておも……



「俺のことかっこいいとか思った?」


「ばっ!」






……ん?

え、待って待って。





「まあ、無理ないな。かっこいいのは事実だし」


「ちょっ、なに言ってんの?!」




翔は不敵な笑みを浮かべる。




なにこいつ。


まさか、まさか…………










ナルシスト要素も入っちゃってんの?!



うーわ無理!!





「あっあたし! お菓子の用意します!」


「おー、よろしく」




あたしは部屋を飛び出した。





なんだなんだ?!



俺様で危険で、さらにナルシスト?



あたしの最もキライなタイプの詰め合わせじゃんよ!






あたしは、お菓子作りがとてつもなく憂鬱だった。





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