りある♡プリンス

遠くなった背中にあたしは呼びかけた。



「っねえ！ 翔はなんとも思わないの？」




なんか、あたしだけ気にしてるみたいで嫌だ。



……悔しいけどほんの少しだけ、翔のこと気になってたり、するのに…。


…あんな危ない人だけど、根はいい人なんじゃないかって、思ったりしてるのに…。




……なんだかんだ言ってこんなこと思っちゃうあたしって、本当のとこどうなんだろう。






翔は黙って振り向いたかと思うと、あたしに近づき手を引いて歩き出した。







着いたのは翔の部屋。



扉を閉めてからもなにも言わない翔に、あたしはいても立ってもいられなくなった。




「…ねえっ、翔！」



呼びかけると、視線が上がって深い色の瞳があたしを捉える。




そして静かに口を開いた。




「…俺も信じらんねえよ。いきなり、いいなずけとか言われて、受け止められねえよ…」





翔は、重くて長いため息をもらす。