りある♡プリンス
その笑顔とその仕草に、なぜかあたしの胸は高鳴っていた。
な、なにこれ………
「じゃ、今日は帰ろう」
「う、ん」
答えると、不意に右手を差し出された。
「え?」
「ほら、早く」
そう言うと、翔はあたしの手を握った。
「ちょっ、翔?! 見られるって!」
「あ? 別にいーだろ。嫌なのかよ」
学園内でこんなとこ見られたら、どうなることか知ったもんじゃない。
「嫌、です」
「却下」
「は?!」
なに却下って…!
あたしに拒否権はないわけ!?
幸いにも誰にも会わずに済んだ。
無事にリムジンに乗ることができた。
もちろん、リムジンが見えた時点で手は離したけど。
でもたった1人、あたしたちの姿を後ろから見つめる人影があったことに、誰も気づかなかった。