りある♡プリンス
「まっ、待って」
あたしは慌ててそのあとを追う。
「ね、リムジン来るって! 早く戻らなきゃ」
「うるさい」
あたしはなにも言えなくなってしまった。
しばらく歩いて、学園が見えなくなったところで、翔が急に立ち止まった。
そして軽く振り返り、あたしに視線を向けた。
「…え?」
「そんなに帰りたい? 俺はお前といたいんだけど」
ぶっきらぼうにそう言った翔は、ふいっと視線を外した。
ほんとに、なんでだろう?
前までは、こんなこと言われたら絶対意地でも拒否って逃げるはずなのに。
なのに、今はなぜかどきっとしてしまった。
あたし……どうしちゃったの?!
「…どこ、行くの?」
あたしの口は勝手に動いた。
でも言ってから、しまった、とは思わなかった。