りある♡プリンス
部屋の前まで来て、扉の前で立ちすくんだ。
中から聞こえる紗羅ちゃんの声。
『私っ、翔さんが本当に好きなんです! 考えてくれませんか?!』
「…っ、」
胸がギュッと締め付けられる思いがした。
『……ごめんなさい。さっきから何回も言ってますが、僕には心に決めた方がいます』
…え………?
"心に決めた方"…………?
それってつまり………翔の、好きな人………?
え…翔って、好きな人いるの……?
次の瞬間目の前の扉が勢いよく開き、中から顔を押さえた紗羅ちゃんが走って出てきた。
翔の部屋の赤い絨毯には、紗羅ちゃんが作ったクッキーが落ちている。