りある♡プリンス
「……ん…」
眩しい光で目を覚ました。
瞼をこすりながらゆっくりと起き上がる。
起き上がって気づく。
あたしはメイド服のままだった。
あたし、あのまま寝ちゃったんだ………!
時計を見ると、6時半だった。
まだ十分間に合う時間だ。
あたしはゆっくり制服に着替え、部屋を出た。
「あ、まひるちゃん!」
いきなり声をかけられ、あたしはびっくりして後ろを振り返る。
「紗羅ちゃん……」
意外にも、紗羅ちゃんの表情は明るい。
「昨日まひるちゃんに報告してなかったよね。私、翔さんに振られちゃった!」
「え……」
紗羅ちゃんは、えへへ、と笑った。
「伝えるだけ伝えられたから、なにも後悔はしてないの。翔さんは、憧れの人として見ることにしたの」
紗羅ちゃんは全部吹っ切れたように、太陽みたいに明るい笑顔をあたしに向けた。
「じゃ、またね!」
紗羅ちゃんは走って行った。
紗羅ちゃん、ほんとは絶対悲しいはず。
なのに、あんな風に振る舞えるなんて……紗羅ちゃんはすっごく大人だ。
あたしは紗羅ちゃんの背中をしばらく眺めていた。