パイナップルの雨 ~Rain in the Pineapple.~
「平田君は何でメガネなの?」





「え? あぁ、コンタクトは面倒だから? かな。何で?」





「壁みたいなものなのかなって。加藤さんはきっとそうだと思う」





「勝手に心理分析するなよ」





「あ、ごめん。つい………」





最近の悪い癖だ。





じっと相手のことを観察して建前はこうだけど、





本音はああなのではないか、そう頭の中で思案している。





「そんなふうに考えてばっかだと幸せになれねえよ」





幸せになりたくて、心理学を学んでいるわけではなかった。





「―――もう、手遅れだよ」





誰かをたすけたいからでもない。





「―――遅いんだ」





彼の、ハルキの心を少しでも知りたいから。







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