パイナップルの雨 ~Rain in the Pineapple.~
雑誌6冊は意外に重かった。
破れてしまわないかと気にしながら10分ほど歩いたスタジオは思っていたよりも古く、扉も重かった。
「すみません。書籍をお届けに上がりました」
フラッシュの光と電子音、よくわからない洋楽が埋め尽くす空間で、私は存在すら認知されなかった。
「すみません!」
近くにいた若いスタッフに呼びかけると、彼はカメラのレンズを掃除していた手を止めて私を見上げた。
「はい―――?」
伸びっぱなしの緩く波打つ黒髪、男のくせに綺麗で白い肌、大きくて形のいい目の中の瞳に私が映っている。
「―――アマモリ。………なの?」
少し困惑した表情を彼は見せた。
「………松井………リンゴ………?」
あの頃と、同じ顔をするんだ。
「何で? 東京にいたの?」
「カメラの専門学校で、今日はアシスタントのバイト、だから」
「そうなんだ………」
破れてしまわないかと気にしながら10分ほど歩いたスタジオは思っていたよりも古く、扉も重かった。
「すみません。書籍をお届けに上がりました」
フラッシュの光と電子音、よくわからない洋楽が埋め尽くす空間で、私は存在すら認知されなかった。
「すみません!」
近くにいた若いスタッフに呼びかけると、彼はカメラのレンズを掃除していた手を止めて私を見上げた。
「はい―――?」
伸びっぱなしの緩く波打つ黒髪、男のくせに綺麗で白い肌、大きくて形のいい目の中の瞳に私が映っている。
「―――アマモリ。………なの?」
少し困惑した表情を彼は見せた。
「………松井………リンゴ………?」
あの頃と、同じ顔をするんだ。
「何で? 東京にいたの?」
「カメラの専門学校で、今日はアシスタントのバイト、だから」
「そうなんだ………」