パイナップルの雨 ~Rain in the Pineapple.~
心理と名の付く本は星の数ほどあり、その中で気になるモノはいくつか読んだ。





「たとえば、カイト君が腕を組んでいるのは私の話に興味がないか、無意識に心を読まれないように防衛しているから、とかかな」





行動心理学や認知心理学をもとにした仕事や日常のコミュニケーションを円滑にするためのハウツー物は、




比較的わかりやすく書かれており心理学の知識がなくてもすんなり読めた。





「うわー、マジかー」





彼は私から視線を外して下を向いた。





「何か心を見透かされた感じがしてハズい」





ちらりと上げた瞳は照れくさそうに笑っていて、頬が少し赤くなっていた。





「………ごめんなさい。そんなつもりじゃなかったのに」





「いや、オッケーだよ。オレが聞いて一人で勝手に照れてるだけだから」





再び上げた顔は微笑みに満ちて私を見つめた。





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