危険な香り
「今、思い出してることは、一つだよな」
ヤンチャな瞳が近づいてきた。
「なんのこと?」
そう惚けた私の手首を掴み、スツールから強引に引きずり下ろした。
連れて来られた場所はガラス張りの都会の灯りがヤケに派手派手しく映り込むベッドの上。
荒々しく獰猛なキスに気が遠くなる。
空飛の赤いバラと藍色の龍のタトゥーに自ら唇を押し付けていた。
危険な香りが漂う中、硬く熱い肌と、柔らかく雫を浴びた肌が絡み合う。
激しい快楽が何度も身体を突き抜け甘い声だけが漏れる。
彼への罪悪感が、より一層、私を乱れさせた。
空飛は……
今の私をなんて表現するだろう。