不器用な恋にコイをした。
聞き覚えのある声
視線を犬から飼い主に向けた。
「あ…」
「はい?あ…。ま、真於くん…」
沢尻だった。
その瞬間沢尻が慌てだす。
「ご、ごめんなさい。失礼します!!」
あーなんかムカつく。
「おい。待てよ」
俺は慌てて帰ろうとする
沢尻を呼び止めた。
「なんでそんな慌てんの?しかも俺の顔見てそんな態度とるとか最低。ムカつく」
ふっ。また慌ててる。
なんかこいつおもしれぇ。
「え、ムカつくって…。すいません…。」
あーもうだから謝られるのが
いやだっつーの!!
「なぁ。その眼鏡取ってみろよ。そしたら許してやっから」
なに言ってんだ俺。
まあ眼鏡してるやつがブスでも
眼鏡取ったら意外とかわいい奴だったり
するからな。
そういうことはないだろうけど
沢尻にも一応ってことで。
「え。眼鏡取ったらブスだから…やだ…」
「別にお前がブスだろうが俺には関係ねんだからさっさと眼鏡取れ」
それでも沢尻はためらう。
俺が無理矢理取ろうとしても取らせてくれない。
「や、やめてください!!…イヤァ!」
俺は沢尻の腕を片手で掴んで
もう片方の手で眼鏡をとった。
なにこんな強引になって…
「え…ぁ…。」
「み、見ないでください。眼鏡返してください。チロ…いこ」
俺が持っていた沢尻の眼鏡を
沢尻が取ってすばやく帰っていった。
「な、なんなんだよ…。この変な気持ち…」