西澤さんと文子さん
「私ね、あなたなら西澤君を幸せにできると思うの、私と違って…」
一通り買い揃え、文子と鴨居は、休憩がてらにパウダールームでメイク直し。鴨居は、マスカラをまつげにつけながらそう話した。
「私ね…ある意味、西澤君を見捨ててしまったから。」
文子は、リップを塗る手を止めて「どうしてですか?」と不思議そうに尋ねる。
「私もね、西澤君と一緒でいじめられたの。昔っから“気持ち悪い”って。」
西澤は、チークをポンポンと頬に当て、少し笑いながらそういった。さらに…
「どうして私ばっかり、何が悪いの?って…でもね、西澤君は認めてくれたの。それが鴨居の個性なのにねって(笑)」
淡々と話していた鴨居であったが、目は少しずつ潤んでいく…