西澤さんと文子さん

嵐の家族会議



「お父さんがいない3年の間に・・・どうして知らせてくれなかった、お前達。」


文子の隣に座った父は、少し怒った口調でそう言い放つ。少しの沈黙がリビングを包みだそうとしていた時、智視が口を開いた。



「親父に言えば、見合い自体もなくなるからだよ。」



それを聞いた父親は「そうだな。」と吐き捨てるようにつぶやく。智視は更にこう続けた。



「親父は文子が結婚しないで、ここに暮らしてくれるのがいいのかもしれないけど、文子の気持ち考えろよ。もう29だぞ!結婚だって考えていい年なんだぞ!もう、ガキじゃないんだぞ。」



「お前からそんな言葉が出るなんてな・・・18で勝手に結婚して、35で勝手に離婚したお前から。あの時“今に見てろ。”って行って家を飛び出したお前からな~。」

皮肉交じりに智視のことを話す父に、由美子が気を使って食事を勧める。

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