西澤さんと文子さん
コトコト…
鍋で煮込まれる料理の音と香りが広がっていく。
文子はキッチンで朝食を作っていた。
ワンプレートの皿に、トーストやサラダ、ミニオムレツ。そして、スープカップに入れられた野菜スープに小さな器に入れられたヨーグルト…文子が頑張って作った朝食が出来上がろうとしていた…。
「きゃっ!」
急に身動きがとれなくなり、驚いて声を出してしまった文子。視界を下げると少しゴツゴツした腕…西澤が後ろから抱き締めていた。
「亮太さん?」
「こう…したかったんです。」
「オムレツ焦げちゃいますよ(焦)」
「はーい…」
西澤は寂しそうな声を出しながら、そっと手を放す。