西澤さんと文子さん
「すいません・・・それと・・・」
そういいながら、文子は上司に結婚の報告を始めた。西澤は、文子の顔にくっつけるように顔を近づけると、一緒になって電話を聞く。
「ありがとうございます。会社の手続きとか・・・」
事務的な話。
西澤にとってはちんぷんかんぷん。とにかく、頭が混乱してくる・・・。
「では、失礼します。」
携帯お電話を切る文子の横で、頭を抱える西澤。それを見た文子は、西澤が心配になり・・・
「亮太さん・・・」
といって、頭をあげた西澤の額に自分の額を当てる。
「熱は、ないですね・・・頭、痛いですか?」
心配そうに自分を見つめる文子の顔が、西澤の視界に入っての脳裏に刻んでいく。その瞬間、再びあの早い鼓動が西澤を混乱させていく。