西澤さんと文子さん

「じゃ、いったん帰りますね。」
「うん・・・」

文子も西澤も寂しい気持ちを抱きながら、玄関で言葉を交わす。

「婚姻届・・・一緒に出しに行きたいです。」
「俺もそう思ってました。一緒に行きましょう。」

そう言葉を交わすと、笑顔を取り戻した文子。その笑顔を見て笑顔を取り戻していく西澤。玄関にいた二人の間には、暖かく優しい空気が広がっていた。


「月曜日、書いてもらってきます。」
「じゃ、月曜日の晩に・・・って開いてるかな?」
「駄目だったら、来週の土曜日とかどうですか?」
「そうですね。その間に引っ越しちゃおうかな、ここに(笑)」
「待ってます(笑)」

そういって、文子は西澤に合鍵を渡す。西澤は、その鍵をポケットにしまうと、文子を抱きしめて「早く一緒に暮らしたいです。」と耳元でそう話してドアを開けて出て行った。


「私も、早く亮太さんと一緒にいたいですよ・・・」


閉じられたドアの内側で、文子は寂しそうにそうつぶやいた。

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