西澤さんと文子さん
「西澤君の所にさっき行ってきたんだけど、ちょー格好よかったよ!」
「本当ですか?早く見たいなー。」
「で、何処まで?」
「?」
「まさか、キスまでってことないよね?」
「一度だけ…キス以外…」
照れながら話す文子に、鴨居もパートナーもほっとする。
「和ちゃん、すごく心配してたんだよ。」
鴨居のパートナーが口を開き、優しいその声で話し始める。
「日本から帰って来てから、ずっと“大丈夫かな”って。毎日、お祈りも行ってたんだ“大事な友達が幸せな人生を歩けます様に”って。」
文子は、目に涙をため込みながら驚くと、鴨居の顔を見つめる。
「私は、体も心も文子ちゃんと一緒で女の子になったわ。でも…」
少し下を向くと、すぐに表情を隠す様にほほ笑んだ鴨居。そして…
「だから、貴方達には幸せになって欲しいの。私達以上に。」
と言って文子を抱き締めた。